平成28年1月25日福島第一原発視察(金城代表)
・放射能汚染水対策への沖縄からの発信
2011年(平成23年)3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」による津波で福島第一原子力発電所が被災し、放射能汚染が深刻な問題となっており、国内はもとより世界中が注目しているところである。
政府安倍首相は、世界に向けて「福島原発汚染水はコントロール下にある」と発信したものの、被災した原子力建屋に流入する地下水により汚染水がいまだに増え続けている。また、その処理対策が今日に至っても綱渡り状態であることは、多くの国民はあまり知らされていない。
このような状況の下、震災直後からいち早く地下水流入遮断の必要性を説き、その対策工法を提言したのが、弊社創業メンバーの恩師である古川博恭博士(平成27年10月死去)である。
古川博士が提言した地下水流入対策工法は、河川が発達せず毎年のように水不足に苦しんだ沖縄の島々(方言で“島ちゃび”と呼ばれる)の水対策として考案された地下に水を貯める技術(地下ダム)であり、本島や宮古島などのサンゴ礁台地の地下に数多く建設され、多くの恩恵をもたらしている。最近、博士が研究の集大成として執筆された英文著書「the underground dam」は水不足に悩む国々から国際的に注目されている。
この地下ダムは、地下を流れる地下水を止水して水を貯める工法であり、まさしく地下水の流れをコントロールする技術である。地下ダムは沖縄地方特有の地質である琉球石灰岩(水を透し易い地層)と島尻泥岩(水を透し難い地層)の地層構成により成り立つ技術であるが、公表されている福島原発周辺の地質は、地層の成り立ちこそ違うものの、地質構造の類似性から福島原発でも応用可能である。
弊社は、この沖縄発の地下ダム技術を福島原発の汚染地下水対策に役立てるため病床にありながらも最後まで奮闘された恩師の意志を引き継ぐべく、博士が福島原発の後を託された元琉球大学黒田教授を団長として、同新城教授、現小宮教授と弊社金城代表でチームを組み平成28年1月25日に福島第一原発の現状を視察しました。この視察結果をもとに、地下ダム技術の適用性等について検討を加え、汚染水処理工法の提言(「琉球レポート」)をまとめるべく、作業中です。この福島原発の放射能汚染という国家の未曽有の大災害に沖縄で実証された技術が役立つことを私達は切に願っています。